住宅ローンを選ぶうえで大切なポイントのひとつ「金利タイプ」。
大きく分けると変動金利と固定金利に分かれます。さらに、固定金利には「一定の期間」のものと「全期間」のものがあります。


「おすすめされて何となく選んで、考えるのが面倒くさいからそのままになっている」という人も多いんですが、しっかりと理解して選ばないと後で後悔することになるかもしれません。
長い期間におよぶ返済が必要となる住宅ローンにおいては、少しの金利の差でも、総額にすると大きな違いとなってきます。
住宅ローンの金利には、返済中に金利が変わる「変動金利型」、ずっと金利が変わらない「全期間固定金利型」、一定の固定期間の後、固定か変動かを選べる「固定金利期間選択型」の3つのタイプがあります。
それぞれにメリット・デメリットもあるので、特徴をしっかり理解して、自分にあったものを選ぶようにするのが大切です。
金利タイプの違いや、どれを選ぶのか決める場合に考えるべきことについて詳しく見ていきます。
この記事の目次
変動金利型
返済の途中でも金融情勢の変化によって定期的に金利が変動する(年2回)。

メリット
・金利が低下すると、返済額も減少してくれる
・固定金利型よりも当初の金利が安い
デメリット
・金利が上昇すると、返済額が増える
・借入時には将来の返済額が確定しないので、返済計画は立てにくい
・金利が上昇した場合、未払い利息が発生する可能性がある
▼ 変動金利の仕組みや選ぶべき人についてさらに詳しく書いています。
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変動金利の仕組みを理解して金利上昇リスクと向き合う!選ぶべき人は?
住宅ローンの金利タイプは大きく分けると「固定」か「変動」の2つ(プラス2つの組み合わせ)。 一番金利が低い「変動金利」。新規で住宅ローンを借入れる人の約半数はこの変動金利で借りています。 金利が低いと ...
全期間固定金利型
借入時の金利が返済期間中ずっと変わらないタイプ。
「フラット35」は人気があり代表的ですが、金融機関によっては独自の全期間固定金利型を提供しているところもあります。

メリット
・金利が上昇しても返済額は上がらない
・返済が計画的にできる
デメリット
・金利が下がっても返済額は下がらない
・変動金利型より金利は高い
固定金利期間選択型
3年や5年、10年など、はじめの一定の期間は固定金利で、その後は固定金利か変動金利かを選べるタイプ。
固定金利が終わった後は、金利が大きく上昇してしまう事が考えられます。変動金利にはある「返済額が上昇する場合は、前回の1.25倍まで」というルールはありません。
メリット
・固定金利期間中は返済額が確定されている
・金利が低下したら、返済額が減少してくれる
デメリット
・金利が上昇すると、返済額が増える
・固定期間終了後に金利が上昇していると、急に金利が高くなってしまうなど、返済計画が立てにくい
変動金利型や固定金利期間選択型のリスク

金利が上昇すると、返済額も増えて元金がほとんど減っていかない状態になってしまう可能性があります。
さらに、金利が大きく上昇すると、元金は全く減らないで利息が返済額を上回ってしまい「未払利息」が発生することもあります。
未払利息とは?
急激な金利上昇が起こって、金利が見直され適用金利が大きく引き上げられると、利息の部分の金額が返済額よりも多くなってしまう可能性があります。この金額を「未払利息」と呼びます。
未払利息が発生してしまうと、返済額からローンの元金に対しての支払いがゼロになって、ローン残高は減らずに、利息だけを支払っているという状態に陥ることがあります。
ただし、変動や固定期間が短いほど金利は低くなる
一般的には変動金利型が金利の水準は一番低くなります。
固定期間選択型は期間が短いほど金利水準が低く、全期間固定型は一番金利水準が高くなります。
変動金利は、短期プライムレートという市場金利に連動して上げることができるので、資金を調達する金利よりも貸し出す金利が高くなるというリスクは考える必要がないので、金利は低く設定できます。
変動金利型・固定金利期間選択型・全期間固定型の3つの金利タイプのうち、とにかく金利が安いものを選びたいのなら変動金利となりますが、金利上昇のリスクはあなた自身が背負うことになります。
固定金利の場合は、金利が上昇してもいいように、それを見込んで金利が高めに設定されます。銀行にとってのリスク回避といえます。
銀行側からすると、貸出し時に金利が決定されてしまうことで、金利が上昇すれば収益が減り、大きくなれば大きな減収にもつながります。
金融機関側から見れば、変動金利はリスクが少なく、借りる側の私たちがリスクを背負っているのです。
全期間固定金利は、貸し出し時の金利のままずっと変わらないので、将来の金利上昇のリスクは金融機関が背負っているのです。

金利タイプを組み合わせる方法もある

「ミックスローン」や「ミックスプラン」、「金利ミックス型ローン」などと呼ばれます。
変動と固定でミックスすると、金利上昇のリスクを軽くしながら、返し初めの返済額を抑える事ができます。
関連記事 ミックスローンとは?メリットや利用を考えた場合に注意しておきたいデメリットについて
変動から固定への借り換えは難しい
[st-kaiwa2r]借りはじめは、できるだけ低金利で借りたいから変動金利で、金利が上がりそうな情勢になったら固定金利に切り替えたらいいじゃん[/st-kaiwa2]
または、「銀行にすすめられるまま変動金利になってるけど、金利が上昇しような情勢になったら固定金利に」と何となく考えている人も多いとい思います。
一見よさそうに思うのですが、実際はこれ、けっこう難しいことなのです。
変動金利が上がる状況では、すでに固定金利が上がってしまってるのが普通です。借り換えてもすでに固定金利も上がっている状況と考えられます。
しかも、「もしかしたら、また金利が下がるかも」という迷いも当然あります。
考えれば考えるほど、判断がとても難しいのです。
みんなはどの金利タイプを選んでる?
住宅金融支援機構「民間住宅ローン利用者の実態調査 2017年度 第1回調査結果」を参考に、どんな金利タイプが選ばれているのか傾向を見てみましょう。
住宅ローンの調査回次別金利タイプ構成比の推移(16/3〜17/9)
2016年度第1回(16/3〜16/9)、2016年度第2回(16/10〜17/3)、2017年度第1回(17/4〜17/9)と推移をみると、
変動型は少し増加(50.4%)し、固定期間選択型も少し増加(36.9%)、全期間固定型は減少(12.6%)しています。
さらに細かく、2017年4月から、9月までを見ると・・・
借入年月別金利タイプ構成比の推移
借入年月別金利タイプ構成比の推移を見てみると、この期間では、「変動型」と「全期間固定型」の利用割合が増加、「固定期間選択型」は減少しているのが分かります。

金利タイプの選び方 まとめ
「変動金利型」や「固定金利期間選択型」は、金利変動のリスクはあるものの、金利の負担をできるだけ減らして、短期間での返済を目指す場合に選ばれることが多いです。

収入の増加が見込める、資産の余裕が確保できるなど、金利上昇リスクに備えることができる人は変動金利で総返済額を少なくおさえることが有効です。
最近の傾向では、新しく住宅購入をする人のうち、約半数は「変動金利型」を選択しています。
変動型を選んで金利が大きく上昇してしまった場合、5年後に返済額が上がる際には、現在の毎月返済額が10万円なら、単純に最高12万5000円になる可能性があるということ(5年後の返済額の上げ幅は、前回の1.25倍が限度。)など、金利上昇リスクを踏まえても、問題は無く、とにかくお得に返済してしまいたいという人は変動金利でもいいでしょう。
現在の低金利の情勢で見た場合なので、今後状況が変わると考え方も変える必要があります。
「全期間固定金利型」は、情勢に左右されたくない、しっかりと返済計画やマネープランを立てて実行したい、という人に選ばれることが多いです。
「変動を気にする必要がない」という安心感や安定感があり、借り入れてからは金利の変動を気にしなくてよくなります。
近年の低金利の傾向から「今のうちに」と選ぶ人も増えているようです。

金利タイプは、目先の金利の低さばかりを見て選んでしまわずに、金利の状況・動向を考えた上で、変動か固定かを選ぶのが理想的です。
でも、未来の金利がどうなっているかを予測するのは難しい…。
将来の金利がどんな情勢になっているのか、断言できる人はいません。


現在、低金利の変動金利で0.5%くらい、全期間固定では1.5%くらいとなっていますが、変動金利で借りていて、完済まで金利が1.5%より上昇していなければ、「変動金利のままでよかった」という答えがでます。
金利が1.5%よりも大きく上がってしまうと「やっぱり固定金利にしておくべきだったか」という答えになります。


どの金利タイプを選んでも、
繰上返済を利用して、できるだけ早期完済を目指す
見直し・借り換えも計画して、よりお得な住宅ローンを選べるようにする
など、しっかりと管理しながら返済していくようにしましょう。