ほとんどの人が人生において一番大きな金額となる住宅購入。
住宅ローンの金利の差は0.1%の違いでも、とても大きな金額差となってきます。
住宅ローンの適用金利を低くするためには、金利タイプを変更したり、他の銀行のローンに借り換えをするというのがまず思いつくと思いますが、手数料や手間がけっこうかかります。
そこでもうひとつの手段として、住宅ローンの金利引下げを交渉するという方法があります。



実際、他の銀行に乗り換えられたくないという場合、金利引き下げに応じてくれることがあります。
では、住宅ローン金利引下げ交渉はどのように進めればいいのか、新規でも可能なのか、借り換えにはないメリットがあるのか、詳しく見ていきます。
この記事の目次
新規の借入の場合は交渉はできる?
これから新規で住宅ローンを借入れようとしている人の場合、交渉はできるのでしょうか。
新規の場合は、その人の属性によってはありえないことはないでしょうが、普通は無理だと思います。
勤務先が取引銀行としていたり、個人でも取引内容がよかったり、「いいお客さんになりそうだから顧客にしたい」と思われる人なら分かりませんが、現在の住宅ローンは利益が薄いものなので、がっついてまで顧客を獲得したいものではないのが現状なのです。
大口の取引をしてもらえることが見込める人なら対応が変わってくるかもしれませんが、そうでなければ「儲けにならないのに、うるさいお客さんなら他所で借りてくれればいいや」と思ってしまうのは仕方ないことです。

ただ、住宅を購入しようとしている不動産会社や、住宅を建築しようとしている建築会社、または勤務先の会社の「提携ローン」の場合は、不動産会社や建築会社など自分以外の組織に間に入ってもらえて、一般の人より優遇が受けられる可能性もあります。
不動産会社や建築会社は、あなたに提携ローンで借りてもらいたいので、手を貸してくれる可能性があります。

現在返済中の人は「借り換え」か「金利引き下げ交渉」か
ここからは、すでに住宅ローンを借りている人(現在返済中の人)の場合で見ていきます。
自分の返済の進行を見ていて、「全然減っていかないなぁ」「他の銀行ならもっとお得そうだなぁ」と考えている人も多いと思います。

「自分が借りたときよりも金利は下がっているから、借り換えたら得しそう。」金利の引き下げはそういう人が成功しやすいのです。
金利引き下げを成功させるためには、まず借り換えの最初の手順のように、他のお得なローンが無いかシミュレーションしてみましょう。
関連記事 住宅ローン借り換えの流れ|手続き期間は?手順やスケジュールについて
借入中の銀行で優遇金利が引き下げられている場合はチャンス
金利には基準金利(店頭金利)と優遇金利(適応金利)があります。
基準金利はその銀行の基準となる金利で定価のようなもの。優遇金利は、店頭金利から引き下げられた(優遇された)あとの金利で、セール価格のようなもの。
(「基準金利・優遇金利・適用金利って?ややこしい3つの金利の違いとは」の記事に書いています。)
優遇金利は、「借入したとき」と「現在」とで変わっていることがあります。借入したときよりも引き下げられているなら、その金利を適用してもらえる可能性があるかもしれません。
「借り換え」をするつもりで他の銀行でシミュレーション
金利引き下げができそうだからと、さっそく銀行の窓口まで行って「金利が高いから引き下げてほしい!」と言っても、まず相手にしてもらえないでしょう。
交渉に本腰を入れてもらうために、他の住宅ローンでもっとお得なものがないか、しっかりシミュレーションして、「交渉を有利にするための材料」を用意しておきましょう。
交渉のためだけに適当に選んでみるのではなく、「引き下げが受け入れてもらえない場合は、そのまま借り換えればいい」つもりで、しっかりと比較・検討してみましょう。
「住宅ローンはこうやって選べ!比較のために最低限実践すべきポイント」の記事を参考にしてみてください。
諸費用や保障サービスもしっかりと見て選びましょう。相手はプロなので「うちの方が〇〇の点で有利です」と条件を出されると、しっかり調べていないと「そうかもなぁ」となってしまいます。

本当にお得になる、交渉が失敗した場合には、そのまま借り換えに進めるつもりで、いくつかピックアップしてみます。
実際に他の銀行で書類を作成してもらっておいたり、仮審査だけ申し込んでおいたりして、本気で借り換えようとしているところを見せて、交渉の材料にするのも有効な手段です。
しっかりと選んだ、最適の住宅ローンが他にあるのなら、交渉に応じてもらえなかった場合は借り換えてしまえばいいのです。
返済中の銀行に交渉をする

いきなり窓口に行くのではなく、担当者さんがいるならその人に伝えるか、いなければ電話を入れてみましょう。
材料は揃っているので
借入している住宅ローン借り換えを検討している。
先にピックアップした銀行の金利等など条件はこういう感じ。
もし金利引き下げが可能なら借り換えはしない。
このあたりを伝えてみます。
電話だけで話が進む場合もあれば、「窓口に来てください(または家に伺います)。」などの場合もあるかと思います。
借り換えを検討しているということだけで、引き止められる場合もありますし、そのまま借り換えの手順の説明に入られる場合もあるかもしれません。
このあたりはケースバイケースとなると思うのですが、「もし金利引き下げが可能なら借り換えはしない。」というところまで誠実に伝えてみるのがいいと思います。


金利引き下げ交渉のメリット
金利が引き下げてもらえてお得になるのがもちろん一番のメリットですが、借り換えに比べてのメリットがあります。
借り換えは、新たに住宅ローンを借入れることになるので、新規で借入をするのに比べても手続きが複雑です。
今と同じ銀行で金利を引き下げてもらえるなら、手間が少なくとても楽チンです。
手間もそうですが、新たに借り入れるので借り換えは諸費用も大きな金額となってきます。そのことも計算に入れておく必要があります。
実際に、金利で見ると借り換えた方が少し有利なんだけど、手間を考えると今までの銀行で継続するのを選んだという人もいます。
金利引き下げ交渉のデメリット・注意点
関係性ができていと言い出しにくい
借り換えの場合でもそうですが、親密な担当者さんがついていて仲がよくなっていたりすると、「金利を引き下げてくれ」とは切り出しにくいことも考えられます。
長く見ると大きなお得になることもあって、その分家族旅行が増やせるかもしれません。金利が引き下げられるメリットを、実生活に照らし合わせて考えてみましょう。
家族が大きくなっても不自由じゃない車に換えられるかもしれませんし、教育資金や老後の資金に余裕がうまれます。
金利が引き下げられるからといって、担当者さんが首になるわけではないでしょうし、家族の今後を優先して考えるべきだと思います。
当然、断られることもある
交渉がうまくいくとは限りません。「それなら借り換えてください」と、取り合ってもらえないこともあります。
例えば、今までに返済が遅れたことがあったりすると、「無理をして引き止めるほどではない」と判断されてしまったり。

ネット銀行は交渉に掛け合ってくれない可能性が高い

ネット銀行は、窓口をつくらず余計なやり取りを排除して人件費を大幅に削減しています。
それによりコストを減らしているから、現在の叩き合いのような低金利合戦を戦うことができるのです。
窓口がある銀行なら違うと思いますが、ネット銀行は基本的に交渉などのやり取りには取り合ってもらえないことが多いと思います。
審査や手数料が必要な場合もある
金利の交渉がうまくいった場合には、実際の引き下げに際し、再審査が必要となる銀行もあるようです。
また、手数料が少しかかってくるのが一般的なので、先に銀行に確認しておくようにしましょう。
といっても、借り換えに比べると小額となるのが一般的です。
金利引き下げ交渉について まとめ
交渉することで金利が引き下げてもらえるのか、銀行によっても違いますし、時期によっても対応は変わってくると言われます。
3月や9月の期末の時期は、顧客を逃したくないので掛け合ってもらいやすいという話もあります。

交渉はやってみないと結果は分かりませんし、しないままだと今の金利で返済が続くだけです。
借り換えを考えている人は、しっかりと下調べをした上で、より手間が少ない「金利引き下げ交渉」を行ってみるのもひとつの手段として頭に入れておきましょう。