



そこで、会社員(給与所得者)の人が、住宅ローン減税を受ける場合に記入しなくてはいけない書類(確定申告書・計算明細書)の書き方、作成方法について見ていきます。
国税庁のHP、「確定申告書等作成コーナー」から作成・提出することもできます。便利でお手軽でおすすめなのですが、ここでは基本として、自分で必要書類を揃えて、記入して提出する流れについて解説します。
この記事の目次
住宅ローン控除の必要書類についておさらい
まず必要となる書類をそろえておきましょう。
新築住宅を購入した(建てた)人の場合、
- マイナンバーカード(またはマイナンバー通知カードと本人確認書類など)
- 土地・建物の登記簿謄本
- 土地・建物の売買契約書または建築請負契約書の写し
- 源泉徴収票
- 住宅ローン残高証明書
を用意しておきます。

さらに、確定申告用の書類として
- (特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書
- 確定申告書【A】
- 添付書類台紙
を、税務署からもらうか、国税庁のHPからプリントアウトしておきましょう。
▶ 国税庁HP「確定申告書、青色申告決算書、収支内訳書等」
申告書A (添付書類台紙もついています。)
第一表【提出用】・第二表【提出用】
第一表【控用】・第二表【控用】
添付書類台紙
がありますが、「【控用】以外のもの」を提出します。控えも作成しておきましょう。
(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書
一面【提出用】・二面【提出用】
一面(住)・二面(住)
一面【控用】・二面【控用】
がありますが、「【控用】以外のもの」を提出します。(住)は住民税用の資料として、市町村に回されます。控えも作成しておきましょう。
必要書類については、「誰でも分かる!住宅ローン減税の申請方法|必要書類と確定申告のやり方」の記事でも書いています。

▶ 国税庁の「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除用の記載例」に沿って進めていきます。

例で使われている国税太郎さんは、
「家屋1,500万円 / 土地1,500万円」で
「全てが本人の持ち分」で購入し
「平成29年10月31日」に居住を開始しました。
住宅ローン残高は「1,000万円」
となっています。
平成29年度分(平成30年に確定申告)の例で解説していますので、平成30年度分以降は、内容が更新されている可能性があります。
(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書【一面】
まずは、「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書」から作成していきます。
1 住所及び氏名
住所・電話番号・氏名を記入。
2 新築又は購入した家屋等に係る事項
居住開始年月日・取得対価の額(売買契約書参照)・総(床)面積(登記簿謄本参照)を記入。
3 増改築等をした部分に係る事項
新築の場合は記入しない。
4 特定取得に係る事項
家屋の取得対価の額に含まれる消費税が8%の場合は○を。
5 家屋や土地等の取得対価の額
共有持分がない場合は、①「あなたの共有持分」は空白のまま、②「あなたの持分に係る取得対価の額等」に「取得対価の額」と同じ金額を記入。国税太郎さんはこちら。
共有持分がある場合は①「あなたの共有持分」に割合を書いて、持分の分の取得対価を②に記入。
6 居住用部分の家屋又は土地等に係る住宅借入金等の年末残高
③「新築、購入及び増改築等に係る住宅借入金等の年末残高」に住宅ローン残高証明書と同じ金額。
④「連帯債務に係るあなたの負担割合(%)」は、連帯債務がない場合には100%。
⑤「住宅借入金等の年末残高」は、連帯債務がある場合は、③のうちの④の割合分の金額。連帯債務がない場合は③の金額。
⑥「②と⑤のいずれか少ない方の金額」は説明の通り。
⑦「居住用割合(%)」は、事業用・店舗用などではない居住のための割合を記入。
⑧「居住用部分に係る住宅借入金等の年末残高」⑥×⑦
⑨「住宅借入金等の年末残高の合計額」⑧の金額の合計額。
「7 特定の増改築等に係る事項」は、住宅ローンを利用して、バリアフリー改修工事や省エネ改修工事、多世帯同居改修工事など、一定条件を満たす増改築工事を行った場合のみ記入するので今回は省きます。

計算明細書【二面】 (特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算
1段目「住宅借入金等の年末残高の合計額」に、一面の(先ほどの)⑨の金額を転記。
次に、ずらずらと並んでいる算式の中から、自分にあったものを選んで計算し記入します。
国税太郎さんの場合は、1番上の「住宅借入金等特別控除の適用を受ける場合」>「平成26年1月1日から平成29年12月31日までの間に居住の用に供した場合」>「住宅の取得等が特定所得に該当するとき」の行で計算します。
⑨×0.01なので、「10,000,000×0.01=100,000」が住宅ローン控除額となります。
8 (特定増改築等)住宅借入金等特別控除額
「二面の該当する算式のうち、いずれか一の数式により計算し、その番号を記入します。」そのままですね。国税太郎さんの場合は、「1」。
「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額」二面の⑱の金額を転記。国税太郎さんの場合は、先ほど計算した、100,000円となります。
9 控除証明書の要否
2年目以降に、勤務先での年末調整時に住宅ローン控除の手続きを行う場合、控除証明書を提出することになります。
○をつけておけば来年以降9回分の住宅借入金等特別控除申告書が届くので、○をつけておくのをおすすめします。

確定申告書【A】第一表
確定申告書【A】第一表の記入方法を見ていきます。
源泉徴収票を参照して書いていくので、用意しましょう。
確定申告書Aに戻って、まずは、住所・個人番号・氏名生年月日・電話番号など基本的なものを書いていきましょう。
次に下半分の左側に行きます。
「収入金額等」>「給与」(ア)に、源泉徴収票の「支払金額」
「所得金額」>「給与」①に、源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」、「合計」⑤に合計金額を。(他に収入がなければ①と同じ額。)
「所得から差し引かれる金額」>「⑥から⑮までの計」⑯に、源泉徴収票の「所得控除の額の合計額」、「合計」⑳に合計金額を。
ここまでは、勤務先の給料以外の収入がない会社員の人(国税太郎さんも)の場合は、源泉徴収票からの転記が主になるので、特に難しくはありません。
続いて、右半分に行きます。
「税金の計算」
>「課税される所得金額」(21)に、先ほどの左半分の⑤から⑳を引いた金額。国税太郎さん(以下国さん)の場合は、2,411,000。
>「上の(21)に対する税額」(22)は、定められた所得税の税額を計算して記入しなければいけません。
国さんの場合は、課税される所得金額が2,411,000円なので、2,411,000 × 0.1 - 97,500 = 143,600となるので、これを記入します。
>「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除」(24)には、計算明細書の最後で算出した(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額を記入します。国さんは100,000。
>「差引所得税額」(32)には、(22)から(31)までを引いた金額を記入します。国さんは、143,600 - 100,000 = 43,600。
赤字の場合は「0」と記入します。
>「再差引所得税額(基準所得税額)」(34)に、(32)から(33)を引いた額。国さんはそのまま 43,600。
>「復興特別所得税額」(35)は、「再差引所得税額(基準所得税額)」(34)× 2.1%。国さんは、915。
>「所得税及び復興特別所得税の額」(36)は、上の2つを足した金額。国さんは、44,515。
>「所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額」(38)には、源泉徴収票の「源泉徴収税額」を。国さんは、146,600。
>「所得税及び復興特別所得税の申告納税額」は、(36)-(37)-(38)を計算して記入します。国さんは、44,515 - 146,600 = -102,085 となり、「還元される税金」(40)の方に、102,085を記入します。

「還付される税金の受け取り場所」に、還付してもらえる金額の受け取り用の口座を記入します。
口座名義は、申告者本人の氏名のみの口座である必要があります。旧姓のままなどではダメです。ネット銀行では、取扱していないところもあるので、注意しましょう。
住宅ローン減税で還付される金額が求められましたが、残りの第二表にも記入する必要があります。
確定申告書【A】第二表
「確定申告書【A】第二表」も、記入して提出する必要があります。

左上から、住所・氏名・フリガナを記入。
「○ 所得の内訳(所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額)」に、所得の種類、支払い者の氏名・名称、収入金額、源泉徴収金額を記入します。源泉徴収票から読み取れます。
「○ 住民税に関する事項」>「16歳未満の扶養親族」に対象の人があれば、記入します。それぞれマイナンバーも必要です。

「○ 特定適用条文等」は、忘れてしまいそうな場所にありますが、記入しましょう。
ここは、居住開始年月日を入れるのですが、計算明細書の二面でどの番号を選択したかによって、書き込み方に決まりがあります。
(「2」を選択した人は「○特」を、「3」「4」を選択した人は「○認」を、「5」を選択した人は「○増」を、「6」を選択した人は「○断」を、「7」を選択した人は「○多」を、「8」を選択した人は「○震」を付けて記入など)
特定取得に該当する場合は、末尾に「(特定)」と書きます。
国さんの場合は、「1」を選択なので、頭には何も入れませんが、特定取得なので「平成29年10月31日居住開始(特定)」と記入します。

後は添付書類台紙に住所氏名を記入し、「源泉徴収票(原本)」と、「マイナンバーカードの本人確認書類(写し)」を貼り付けて、他の必要書類と揃えて提出するという流れになります。
住宅ローン減税のための確定申告書&計算明細書の記入方法について まとめ
初めて行うことになるケースも多い、住宅ローン減税のための確定申告。
国税太郎さんの例をもとに、住宅ローン減税のための確定申告書&計算明細書の記入方法を分かりやすく解説したつもりです。

