

「子どもが成人したから」「奥さんの趣味を活かして」「定年後に資金を稼ぎたい」「家賃を払うなら自宅を事務所に」などなど、自宅を店舗や事務所にしたいと思う状況もいろいろだと思います。
事務所の場合は、住宅に対してそんなに大きな面積が必要にならないこともありますが、店舗となると業種にもよりますが、ある程度のスペースは必要となりますよね。

事務所・店舗兼住宅を新築・購入・リフォームする場合に注意しておきたいポイントについて見ていきます。
この記事の目次
店舗や事務所専用の建物を建てられない地域もある

特に「第1種低層住居専用地域」では、専用の店舗や事務所は作れません。兼用の住宅でも「事業用の床面積が50㎡以下で、建物の1/2未満の面積」である必要があります。
また、事務所、日用品の店舗、食堂、喫茶店、理髪店、美容院、クリーニング取次店、質屋、貸衣装屋、貸本屋、洋服店、畳屋、建具屋、自転車店、家庭電気器具店、パン屋、米屋、豆腐屋、菓子屋、学習塾、華道教室、囲碁教室、アトリエや工房などは兼用住宅で利用可能ですが、その中でも、細かく制限がかけられているものもあるので、注意しましょう。
住宅ローンは利用できるのか?

基本的に「店舗や事務所のみの建物」を建てるためには住宅ローンは使えません。それは住むための住宅ではないので。
そういう場合は、事業資金を借り入れる、「事業者ローン」や「事業融資」を利用することになります。

事務所兼住宅・店舗兼住宅を新築・購入する場合の住宅ローンはどうなのか?
上に書いた「原則」から言うと、住宅部分は住宅ローンで、店舗や事務所部分に関しては、自己資金で支払うか、事業者ローンなどの融資を受けて支払う必要があるということになります。

これも原則として、「事務所や店舗のように事業に使う部分の床面積が、建物全体の1/2以上ある」という場合には、住宅ローンの対象にしてもらえません。

1/2の面積を超えていない小さい面積の場合は、事業に使う部分も「住宅ローンに含んで」取り扱ってくれる金融機関もあります。

そのため、まったくのゼロの状態から事務所・店舗兼住宅を建てたいという場合は、設計の段階からしっかり考えておく必要があります。
金融機関によって条件はさまざまなので、「この銀行なら大丈夫だよ」とはっきりと言い切ることはできません。

ただ、事務所や店舗を兼ねた住宅を建てるのに、それを隠して住宅ローンを借り入れると、一括返済を要求されることもあるそうです。
現在は、融資担当者が完成した建物を見に行くということもあるとか。店舗や事務所にすることを隠して住宅ローンを申し込むのはやめておきましょう…。
フラット35ではどうなのか?
フラット35では、
・住宅部分の床面積が全体の1/2
・店舗と事務所は、申し込み本人か同居人が生計を営むために自己使用するものであること
・住宅部分と店舗・事務所部分との間が、壁や建具などで区画されていて、行き来できる建て方であること
・住宅部分と、店舗や事務所部分を一つの建物として登記できること
という4つの条件すべてに当てはまる場合、融資の対象としてくれます。
ただし、融資の対象は、住宅部分の建築費(または購入価格)以内に限ります。
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新築した住宅を後々事務所や店舗にする場合は?

「違う会社やお店で修行している間に結婚もして新築も建てて、後に独立して開業、家の一部を事務所や店舗に使うことにした。」というケースけっこうあると思います。

と思って調べていたら、フラット35では、こんなことが書かれていました。
そのため、事前にご返済中の金融機関にお申し出ください。◆ご注意無断で融資住宅を店舗・事務所に変更しますと機構(旧公庫)とお客様との間で取り交わした契約に違反することとなり、融資金の全額をお返しいただくことになりますので、ご注意ください。
(フラット35公式サイト「住宅の一部を店舗・事務所に変更するとき」より)

フラット35は金融機関独自のものではなく、国の政策もからんでいる住宅ローンなので、このあたり融通は効きにくいのかもしれません…。
無断で変更するのはやめましょうね。
賃貸物件を事務所・店舗兼自宅にする場合は?


基本的には、賃貸物件は特別な説明がなければ、住宅用の物件です。住宅専用の物件に住まないのに事務所・店舗として利用することはできません。
物件の中には「事務所可物件」というものがあって、これなら事務所利用が可能です。
また、大家さんとの交渉次第では住宅用物件でも事務所として借してくれる可能性はあります。
ただ、貸す側としては、住居として貸すのと事務所として貸すのはまったく事情が異なります。事務所として貸す場合は税金も高くなるし、火災保険も事務所と住居では保険料が違います。

住宅ローンを使った事務所・店舗兼住宅の新築についてのまとめ

事務所・店舗兼住宅の場合、一般的には事業に使う部分の床面積が、建物全体の1/2以上ある場合には、住宅ローンの対象にはしてもらえません。

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