


そんなとき、「自分はいくら借りられるのか?」というのが最初に思いつくことだと思います。住宅の購入予算が出せないと、物件選びにも影響してきます。
購入する物件が先に決まってしまうと、負担が大きすぎる返済額になってしまう可能性もあります。
住宅ローンで借入できる金額は、一般的に「年収の5倍くらいまで」なんて言われますが、将来的には収入がどうなるかは分からないし、家を購入した後、住宅ローンを返済しながら、家のメンテナンス費用(修繕費)や子どもの教育費も必要となってくることを考えると、実際は毎月の返済はそんなに余裕はないものです…。
そのようなことに関係するものに、「返済負担率(返済比率)」というものがあります。住宅ローンの借入額を決める時にはとても大切な要素となります。

この記事の目次
返済負担率(返済比率)とは?

返済負担率とは、「年収に占める年間返済額の割合」のことです。
住宅ローンの返済額が年収に対してどのくらいの割合を占めているのかという数値です。
どの金融機関でも審査基準として使われる、住宅ローンの基本的な要素のひとつです。
返済負担率の計算方法・求め方
返済負担率は、年収に占める年間の返済額の割合なので、計算式はこうなります。
この数字が多いほど、返済の負担が大きいということになります。
単純な例で言えば、年収400万円の人が年間100万円返済するとすると、
100 ÷ 400 × 100 = 25
「返済負担率は25%」ということになります。
手取り金額で計算するようにする

手取り(可処分所得)=年収-税金-保険料
手取りは年収から税金や保険料などを差し引いた金額となります。給与明細でいうと「差引支給額」ですね。
なので、年収と実際に使うことができる金額は違います。
返済負担率を計算するときは、年収の税込金額から計算してしまうと、実際の家計での住宅ローン返済にかかる割合とは、大きく差が出てしまう場合があるので注意しましょう。
例えば、年収400万円あるが手取りでは330万円だった場合、年間100万円返済すると
100 ÷ 330 × 100 = 30.3...
「返済負担率は30.3%」ということになります。
年収で計算したときと大きく変わってしまうことが分かります。

年間返済額には他の借入の返済も含まれる
返済負担率の計算における「年間返済額」には、自動車ローンやクレジットカードのリボ払いなど、住宅ローン以外の借入の返済額も含まれます。
他のローンの返済金額が大きいと、返済負担率はクリアしてるのに審査に通らないということも考えられます。
年収400万、住宅ローンを年間100万円返済するとして
例えば、自動車ローンが年間50万円あったとすると
150 ÷ 400 × 100 = 37.5
「返済負担率は37.5%」ということになってしまいます。

住宅ローン審査における返済負担率の目安は?

審査の時には金融機関も「返済負担率」をチェックして、基準を超えると返済負担が重くなり返済が滞る可能性が高くなることから、審査が通らなかったり借入額が減らされるということにつながります。
審査における返済負担率は、金融機関によって違うものの「25〜40%くらい」になっていると言われています。
目安としては、だいたい35%くらいで考えておけばいいかと思います。
民間の銀行ローンでは、年収などによって細かく分けられていることが多いようです。
関連記事 住宅ローンの審査基準まとめ|融資可能かどうかを判断されるポイントや項目
フラット35の返済負担率と毎月返済額の上限

フラット35においては貸出条件の基準として、返済負担率が
年収400万円未満の人の場合で「30%」
年収400万円以上の人で「35%」
と決められています。
詳しくは、「フラット35とは?仕組み・収入など条件やメリットについて」の記事に書いています。
フラット35の基準からいくと、年収が400万円だとしたら、返済負担率は35%以下となるので、
400 × 0.35 = 140万円
これが、年間の返済額の上限ということになるので、毎月と考えると
140 ÷ 12 = 11.6666....
年収が400万円の人の毎月の返済額の上限は、「約11万6666円」ということになります。
フラット35利用者の返済負担率の分布
住宅金融支援機構による、「フラット35利用者調査(2016年度)」によると、
2016年度の返済負担率は
返済負担率30%以上:7.6%
25.0〜29.9%:23.6%
20.0〜24.9%:25.2%
15.0〜19.9%:24.1%
10.0〜14.9%:14.2%
9.9%以内:5.2%
2016年度の返済負担率の平均は、21.1%となっています。

返済負担率いっぱいで借りたらいい?


ここで注意してもらいたのは、
「銀行が貸してくれる額」は「借りる側が安心して返済していける額」とは同じとは言えない
ということです。
金融機関が審査に通してくれる金額と、負担なく返済し続けられる金額は違うのです。
住宅ローン審査において返済負担率は、「申し込んだ人が無理なく返済していける額」を求めるためのものではなく、「申し込んだ人にはいくらまでなら貸すことができるか(融資限度額)」を求めるためのものです。
返済額が負担となりすぎない金額かどうかは、自分で判断しないといけません。
できるだけ多く借りたいと、返済負担率を高めに設定して住宅ローンを借りすぎてしまうと、その後、返済が大きな負担となってしまうことになってしまいます。
返済負担率について まとめ
返済負担率とは、「年収に占める年間返済額の割合」のこと。
返済負担率(%)= 年間返済額 ÷ 年収 × 100
どの金融機関でも審査基準として使われる、住宅ローンの基本的な要素のひとつ。
金融機関が審査に通してくれる金額と、負担なく返済し続けられる金額は違います。
無理なく安全に返せる金額から返済比率を考える

現在、賃貸に住んでいて家賃を払っているという人は、それを目安に返済できる額を考えると思います。
でも、住宅を購入してからは、メンテナンスにかかる費用や火災保険・固定資産税などもかかってきます。マンションを購入した場合でも、管理費や修繕費がかかってきます。
さらには、貯蓄しておくべき金額も残しておくべきです。
また、今の状況では無理なく返済ができても、教育費がかかってきたり、状況はかわってくるので、将来も見据えて考える必要があります。


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