住宅ローンを組むときに初めて耳にする人も多いと思われる「団信(だんしん)」こと「団体信用生命保険」について。
今さら人には聞きにくいけど、実際よく分かってないという人もいます。ちょっと難しそうな名前ですが、そんなに難しいことではありません。


ローンを組む時点では元気で健康だとしても、それが10年後20年後となると、どうなっているかは分かりません。
その長い返済期間中に万が一、あなたが死亡してしまうようなことがあって、家庭としての主な収入がなくなってしまうと、残された家族はローンを払っていくことができなくなり、せっかく建てた家を売って、他で暮らさないといけなくなるという可能性も出てきてしまいます。
そういう事態が起こってしまった時のための、住宅ローンに寄り添った生命保険がこの「団体信用生命保険」ということになります。
団体信用生命保険とはどんなものなのか、保険料・保険金額、保証料との違い、加入条件、保障範囲、保障付き団信の比較など詳しく見てみます。
この記事の目次
団体信用生命保険(団信)とは?
団体信用生命保険(団信)とは、住宅ローンの返済期間中に契約者が、死亡または所定の高度の障害になった場合に、本人に変わって残額を弁済してもらえるという住宅ローン専用の生命保険です。
普通の生命保険に入っていても、それだけでは普段の生活費をまかなえるだけになってしまって、住宅ローンも支払っていくのは難しくなってしまいます。

保険料・保険金額はいくら?
基本的には、住宅ローンを借りる先の金融機関が指定する(提携している)保険会社の団信に加入することになります。
保険金は金融機関が受け取って、住宅ローンの残債に充てる仕組みとなっています。
住宅ローンの残高を弁済するものなので、保険金額=住宅ローン残高となります。
一般的な生命保険よりも保険料は安くなっています。
フラット35の新機構団信は金利0.2%上乗せとなっているので、けっこうな金額とはいえます。
ほとんどの場合、別で保険料の支払いが発生するわけではなく、金利に上乗せされて含まれています。(別で払う場合もあります。)

団信への加入が必須となっている住宅ローンが多い
一般的な金融機関の住宅ローンでは、団体信用保険の加入が必須となっている場合が多いです。
というのも、団体信用生命保険は借りる側はもちろん、貸す側の金融機関にとっても大事なものだからです。
高額となる住宅ローンを貸すことは、金融機関とすれば「返してもらえないリスク」が伴います。
貸した人に万が一のことがあって、返済ができなくなるのは金融機関も困るので、そのリスクを減らすために大切な保険となります。

住宅ローン保証料とは違うの?
住宅ローン保証料も、返済ができなくなった場合に弁済してもらうもので、金融機関の貸し倒れリスクを減らす大事なものですが、団信とは全く違うものです。
保証料は保証会社に支払いますが、破綻などによって返済ができなくなった場合に、保証会社は弁済をした後、残りの返済を借りた人に迫ることになります。

詳しくは「住宅ローンの保証料とは|相場はいくら?無料だとデメリットもある?」の記事で書いています。
団信に加入できない人は住宅ローンを借りられない?
団信が必須ということは、逆に言うと、特定の病気をもともと持っているなど、団信に加入できるような健康状態ではない人の場合、住宅ローンは利用できないということになってしまいます。
じゃあ、もう住宅ローンはあきらめないといけないのかというと、そういうわけでもありません。
団体信用生命保険の審査基準が緩くなる替わりに、保険料が高い「ワイド団信」がある住宅ローンを申し込む。(金利が上がります。)
団体信用生命保険に加入しなくても契約できる「フラット35」を利用する。
という2つの方法があります。
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団体信用生命保険に加入できない場合は住宅ローンは組めないの?
団体信用生命保険(団信)は、一般的な金融機関の住宅ローンでは、加入が必須となっていることが多いです。 ▶︎参考記事:団体信用生命保険(団信)ってなに?住宅ローンに必須なの? 住宅ローンで ...
フラット35は新機構団体信用生命保険

団体信用生命保険は任意加入という形で、「入らなくてもいいけど、入るなら別で契約する(保険料が別でかかる)」ものでしたが、現在は「基本的に団信(新機構団信)がついた住宅ローン(原則加入)」となって、保険料は金利に上乗せされています。
団信に加入しなくても申し込みはできて、借入金利の-0.2%が適用される仕組みになっています。
▶フラット35の新機構団体信用生命保険とは?3大疾病付やデュエットについても詳しく
団信の加入条件とは
団体信用生命保険は、生命保険なので、主に健康状態などの加入条件が定められています。
フラット35の新機構団信を例にして見てみます。
(1)「新機構団体信用生命保険制度申込書兼告知書」の記入日現在、満15歳以上満70歳未満(満70歳の誕生日の前日まで)の方
(2)地域担当幹事生命保険会社の加入承諾がある方
「新機構団体信用生命保険制度申込書兼告知書」に基づいて加入の諾否を地域担当幹事生命保険会社が決定します。
(出典:フラット35公式サイト「新機構団体信用生命保険制度」)
年齢については、住宅ローンを申し込む人なら誰でも問題なさそうです。
加入承諾がある必要がある、というのは、申込書兼告知書の内容に基づいて、健康状態から判断されます。
団信の保障範囲とは
通常の団信は、借りた人が「死亡」または「高度障害状態になった場合」が保証範囲となります。
死亡は契約者が亡くなることですが、高度障害状態とはどういった状態でしょうか。
高度障害状態とは
だいたいの金融機関で同じような内容ですが、ここでは、またまたフラット35の新機構団信においての高度障害状態がどういうものか見てみます。
- 両眼の視力を全く永久に失ったもの
- 言語またはそしゃくの機能を全く永久に失ったもの
- 中枢神経系または精神に著しい障害を残し、終身常に介護を要するもの
- 胸腹部臓器に著しい障害を残し、終身常に介護を要するもの
- 両上肢とも、手関節以上で失ったか またはその用を全く永久に失ったもの
- 両下肢とも、足関節以上で失ったか またはその用を全く永久に失ったもの
- 1上肢を手関節以上で失い、かつ、1下肢を足関節以上で失ったか またはその用を全く永久に失ったもの
- 1上肢の用を全く永久に失い、かつ、1下肢を足関節上で失ったもの
出典:機構団信加入者用団信弁済パンフレット
疾病保障やガン保障など特約付きの団信もあります
通常の団信の保障にプラスして、3大・5大・8大などの疾病保障特約付きの団信も最近では多くなっています。


保障内容は、ローン残高が0円になるものや、毎月の返済を保障してもらえて、その状態が一定期間続いた場合に残高が0円になるものなど、さまざまです。
保険料も、銀行が負担してくれて無料で付けられるもの、月額でいくらか支払うもの、金利に上乗せされるものなど、金融機関によって差があるので、しっかり確認しましょう。
保障付き団信の比較
団信だけじゃなく、病気・ケガを保障する全疾病保障も保険料無料。女性には、通常の「全疾病保障」に加えて「ガン診断給付金特約」が無料で付帯。
団信自体の保障も豊富で、全疾病保障も保険料負担無し(無料)。交通事故に備える「団体総合生活補償保険」も、地震補償制度も
「ガン」と診断されると、住宅ローン残高が1/2になる「ガン50%保障団信」が保険料の負担なし(無料)で付帯。その他、金利上乗せの保障付団信も豊富に取り揃えられています。。
無料の通常の団信・ワイド団信と、金利上乗せで8疾病保障付・ガン保障特約付が選べます。
金利上乗せで「3大疾病保障」や7大リスクに備えた「団信革命」など保証付団信が用意されています。
新機構団信に加えて、金利上乗せで、新3大疾病付機構団信、夫婦で連帯債務の場合、2人で加入できる「デュエット(夫婦連生団信)」もあります。
一覧で比較したい場合は「おすすめ住宅ローン一覧比較」の記事でどうぞ。
団信に加入したら生命保険の見直しも
すでに生命保険に加入していて、住宅ローンを組むために団信に加入したという人の場合、加入している保険の見直しも行うとお得になることもあります。


団体信用生命保険について まとめ
団体信用生命保険(団信)とは、住宅ローンの返済期間中に契約者が、死亡または所定の高度の障害になった場合に、本人に変わって残額を弁済してもらえるという住宅ローン専用の生命保険です。
一般的な金融機関の住宅ローンでは、団体信用保険の加入が必須となっている場合が多いです。
借りる人と家族、金融機関の両方を守る保険という役割を持っています
